モデラーズエキスポでは3日間に渡って各種の実演やトークショーが行なわれました。その中から2つの実演の様子をお伝えします。

まず最初はカーモデル雑誌「モデルカーズ」などで作品を発表しているダッズ松本氏のカーモデルの研ぎだしを中心とした「カーモデルを美しく仕上げるコツ」といった内容の講座です。
ダッズ氏が思うカッコよく仕上げられたカーモデルの一例としてボディの面の切り返しにできるシャープなハイライトを挙げられていました。キット表面のヒケや塗装後の研ぎ出し不足でハイライトが波打ってるようなカーモデルはダッズ氏にとってはカッコ悪い仕上がりという事になります。ダッズ氏が言うにはカーモデルはちょっとエッジが尖っている位がカッコいい。制作はまずボディ全体をペーパーで磨きヒケなどの不要な凹凸を滑らかにしてエッジを立てる事から始まります。この講座ではどうしたらボディにシャープなハイライトが光るピカピカのカーモデルが仕上げられるかというお話が続きます。詳しく説明すると長くなるのでポイントを箇条書きしてみます。

●カーキットの仕上がりの善し悪しは最初の下地処理でおおかた決まる。
●まず制作するキットのボディ全面にサーフェーサーを吹く。
●ペーパーでボディの面出しをする事エッジを鋭く立てたい事はアルミのあて板にペーパーを巻き、ルーフ部分など丸みのある部分にはスチレンボードを切ったものをあて板にする。(市販のヤスリスティク、ハードタイプとソフトタイプの使い分けでもよいかも?)
●面出しの順番として磨いた面の次は隣あった面ではなく一つ間を空けた面を磨く。

●ペーパーは例えば400番、600番,800番と順番を守り使い間を飛ばさない。400番の傷は800番では消せないが600番なら消す事ができる。ダッズ氏は8000番まで使うそうです。
●この磨きによって最初にかけたサーフェーサーが全部削り取られたらボディの面出しが完了。この後もう一度塗装前のサーフェーサー吹き、塗装、クリアコートと続きます。
●塗装後の磨きは1000番以上のペーパーから最後はコンパウンドをシリコンクロスなどの布につけて磨く。この最後の磨きは指で直接クロスを持って磨いてみえました。
●研ぎ出しの時はペーパーに塗装色が付いていないか確認しながら磨く、もし色が付いたら危険信号。これ以上磨くと色は禿げて下地が見えてしまいますのでストップしてください。
●塗装中に塗装面にホコリ、ゴミなど付いてもあわてて取ろうとしない。乾燥後ペーパーで削り取れば良い。
実演よりもお話中心の講座でしたが話の内容は大体こんな内容だったと思います。ダッズ氏はウィンドウの透明部品でも鬼目ヤスリのような目の荒いヤスリでゴリゴリ削って整形する事があるが、一段階ずつ段々と目の細かいヤスリ、ペーパーで磨いていくと最後にはきれいな透明になるそうです。自分は早く作業は進めたくて一足飛ばしで目の荒いペーパーから細かい仕上げ用ペーパーに飛ばしてしまう横着をする事がありますが、カーモデルの美しい仕上がりにはやはり時間をかけて根気よく地道な下地作りをしていく事がポイントのようです。

ダッズ氏の作品です。

もう一つの実演は三重県でブルーベルホビーという模型店を経営されている神田氏のツィンメリットコーティングの講座です。エポキシパテとローラーを使ったツィンメリットコーティングというのは以前から模型誌で紹介されており一般的な方法となっていますが、模型誌の誌面でパテの塊を指でキット表面に伸ばしていく写真など見ると、パテの厚みが厚くなったり、厚みのムラが出たりしないかなど心配でこの方法は敬遠していました。しかし神田氏の方法はエポキシパテを薄く伸ばしてキット表面に貼付け、ローラーでコーティングパターンを刻んでいきます。目からうろこ的発想のこの方法ですが実際拝見してみるとタミヤのタイガー1戦車を使用しての実演で、防楯のような複雑な場所にもきれいにパテを均一の厚みに貼る事ができ美しいパターンを刻んでいました。動画も公開されていますのでこれを見ていただくとその工程がよく分かると思います。自分もこの方法試してみようと思っています。
次回またモデラーズエキスポの作品を紹介します。