今回は塗装した車両にウェザリングを施し、よりリアルに見えるような塗装を考えてみたいと思います。
戦車の模型ファンの間ではウェザリングと言うと以前は汚し塗装と呼ばれ文字どうり土、泥、砂で汚れた車両の再現ということに主眼がおかれていましたが現在ではウェザリング、エイジングと呼ばれその車両が活躍してきた地域、環境や気候、歴史まで考慮して塗装するという傾向が強くなってきました。初めて戦車模型を作る方には、また凄く難しそうな事に感じるかもしれませんが数十グラムのプラスチックの模型を数十トンの鋼鉄の固まりに見えるよう工夫して塗っていくのは戦車模型の醍醐味です。

●まずこのブログでも何度かご紹介しましたが
ウォッシングという塗装をします。油絵用のペトロールとタミヤエナメルのフラットブラックを用意します。ペトロールがなくてもタミヤエナメルの溶剤でも同じように使えますので無理してペトロールを購入する必要ありません。ペトロール(溶剤)でかなり薄めた塗料を車両全体に素早く塗りスジボリや窪んだところに塗料を残すようにしてティシュペーパーなどで余分な塗料を拭き取ります。この塗装で迷彩色全体の彩度も一段落ちて落ち着いた色になります。
●ウォッシングの手順を動画にしてみました。ペトロール(溶剤)で塗料をかなり薄めていることがわかるでしょうか?動画用に部分的にしか塗っていませんが車両全体をウォッシングしてください。

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次はフィルタリングと呼ばれる塗装です。(この方法をフィルタリングと説明しましたが、アーマモデリング誌の2009年4月号によるとこの塗装は「フィルタリング」ではなく「退色表現」と呼ぶのが正しいそうです。自分ではこの2つの塗装法は同様の物ととらえておりましたが誌面を読むと意味が違うようですので混乱させて申し訳ありませんが訂正させていただきます。)微妙にいろいろな色味を加えて色彩に表情を持たせる塗装法です。この塗装には油絵の具がよく使われますがとりあえず初めて戦車を作る方や、まずは手っ取り早く完成させたいという方で「わざわざ油絵の具を用意するのか。テンション下がるなー」と思ったらそういう方法があるという程度に読んでいただきこのフィルタリングは飛ばしてもらっても結構かと思います。このフィルタリングは隠し味的な塗装でウェザリングにどうしても必要な塗装とも言えないからです。
自分はホルベイン社のデュオという絵の具を使っており写真にある4色はバーントシェンナ、イエローオーカー、ウルトラマリンブルー、グリーンで一色400円ほどで買える絵の具ですがもう少し手軽に100円ショップのダイソーで売っている油絵の具(茶色、黄土色、青、緑)でも同じように使えると思います。この4色を細い筆に少量とって点々にランダムに置いていきます。なお使用する色も車両の色や個人の好みで必ずこの4色というわけではありません。

●筆に少量のペトロールかタミヤエナメルの溶剤を含ませて表面で色を混ぜ合わせるようにして薄く伸ばしていきます。

●写真では効果は分かりにくいかと思いますが車両全体の色が馴染んで統一感が出てきたかと思います。

●次は足回りの塗装を考えたいと思います。以前は砂汚れ、泥や土の汚れなどどんなものでも塗料で再現するのが普通でしたが最近はピグメントと呼ばれるパステルの粉のようなもので再現することが主流になってきました。ピグメントは基本的には粉を素材に塗り付けて砂や土の汚れを再現するもので塗装とは違い普通は完全には定着しません。例えば指で強くこすったりするとピグメントが剥がれてきたりします。以前はこの完全には定着しないのが嫌で自分はあまりピグメントというものが好きではありませんでしたが、実際使ってみると簡単に塗装では難しいリアルな汚れが再現できて最近はよく使うようになってきました。実車の汚れももちろん塗装などではなく砂や土という粉が付いているということでリアルというのは当然のことかもしれませんが。写真はミグプロダクションというメーカーのAFVモデラーの多くが使っているピグメントで用途に併せて種類がたくさんあり便利なものですが、どこの模型店でも扱っているような一般的なものではありません。地方の方だと通販でないと入手しにくいものかもしれませんのでこれを使って解説するのはこのブログの趣旨には合いません。

●というわけでピグメントの代わりに画材店に行ってパステルを何色か・・・というのもまたテンションを下げることになりかねませんのでもう少し手軽にダイソーに売っているパステルを用意してみました。8色揃ってたったの100円です。

●こげ茶、グレー、黄土色のパステルを削って粉にします。

●こげ茶中心に3色をブレンドしてペトロールやタミヤエナメルかアクリルの溶剤で溶かして転輪やキャタピラに塗り付けます。

●乾くとリアルな土色になりました。

●車体の裏、転輪の裏なども一面パステルを塗りました。


●乾いたら余分なパステルを拭き取りタミヤアクリルのシルバーで転輪の回りを細筆で塗り機動輪の歯、キャタピラなどをシルバーでドライブラシします。

●車体のドライブラシはタミヤのウェザリングマスターのEセットを使います。高いところから落としてグレーとグリーンが粉々になってしまいましたが固形ながらこれもピグメントと同じような製品です。タミヤ製品ですのでどこの模型店でも入手しやすいものだと思います。


●ウェザリングマスターのイエローでハッチなどの角や車体の角のエッジを強調してメリハリを付けていきます。迷彩のグリーン部分にはグリーン、ブラウンの部分にはダイソーパステルの茶が使えます。

次は
チッピングと呼ばれる車体に付いた小さな傷や塗装の剥がれを再現します。タミヤエナメル、アクリル塗料でも良いですがこの部分も油絵の具が使い易いです。真ん中のローシェンナという色中心に使います。ダイソーの物でしたら茶色に黒とか青を混ぜてたりして色が作れますが、模型に使う油絵の具はチビチビ少量の絵の具を使うだけですので一本買えば一生使えるくらい量があります。そう考えると安い買い物ですので本格的に戦車を作るつもりがあれば画材店で気に入った色を探してみるのも良いかと思います。

●細い筆で塗料の剥がれや雨だれを描いていきます。

●規則的な配列や揃った大きさにならないように気をつけます。

●今回初めてスポンジもチッピングに使ってみました。家に転がっていた物ですが掃除道具かなにかに付いていたもののようです。かなり荒い目がチッピングには良さそうです。

●スポンジに絵の具をつけて押しつけます。

●ハッチ周りなど塗装が剥げ易い場所には良い感じが出せますがあまりやり過ぎるとくどくなってしまいますので気をつけてください。


●迷彩塗装やウェザリングは最初は模型誌などで気に入った作例の真似から初めてみるのも良いかと思います。特にウェザリングは最初どの程度までやったら良いのか判断がつきにくい部分もありますが、数多く作ったり人の作品を見ることでそういったセンスも磨かれてくるものです。出来れば地元での模型の展示会などを調べて会場で直接色々な作品を見比べてみることが良い勉強になります。
次回フィギュアを乗せて完成です。
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