このAFVというジャンルは戦争に直結するものだけあり、拒絶反応を示す方もいらっしゃるかと思いますがプラモデルのジャンルでは安定した人気があります。ジオラマを作る方が多いのもこの分野ですがプラモデル入門者にとってはとっつきやすいジャンルではないかと思います。自分も初めて作るスケールモデルを迷われている方にはAFVをおすすめしたいと思います。その理由として
● 一部のトラックや内部インテリアが再現されているキットを除き組み立てがすべて済んでから一気に塗装にとりかかれる。(ハッチを閉じた状態なら内部は一切見えませんので外側だけの塗装で済みます)
● 車両の色はツヤ消し塗装がほとんどで、塗装前の下地処理、塗装面に付くゴミやほこりにあまりシビアにならなくとも良い。(傷の無い滑らかな表面処理をするカーモデルとは対照的にAFVではわざと表面を荒く加工して鋳造装甲らしさを演出する時もあります。)
●細かい部品を無くしたり破損したりしても戦闘で脱落したとか、傷ついたという荒技でごまかせる。(実際激しい戦闘でフェンダーが脱落していたり薄い鉄板の部分が凹んでいる車両の写真を多く見かけます。また車体後部に大量の荷物などを搭載していたり一部シートが掛けてあったりと部品の欠品をごまかせる要素は多いです。)
AFV模型は工場から出荷したての新品の状態よりも戦場で実際使用されている状態を再現した作品がほとんどで砂埃や泥で汚れた状態を再現したり、塗料のはがれ、錆を表現したりする独特なテクニックを駆使して数十グラムのプラ模型を数十トンの鋼鉄の固まりに見せるのが醍醐味の一つかと思います。また付属する戦車兵や兵士のフィギュアも是非一緒に作りたいところです。こういったテクニックについてはまた後でこの講座で取り上げていきたいと思っております。
初めて戦車キットを購入するうえで一番注意することは輸入キットに多いがキャタピラを一枚一枚繋いでいくタイプのキットがあります。このタイプの組み立ては大変面倒で根気のいる作業です。またきれいに仕上げるにはある程度の慣れやコツが必要で、組み立てるには一番の障害になるかと思います。作り易さよりリアルさを追求するため最近はこのようなキットが増えていますが自分も未だこのタイプのキットは苦手です。
輸入キットを目の敵にするわけではありませんがこのジャンルでも入門用には国内メーカーを選んだ方が無難です。
もう少しキャタピラについて説明しますと初期の戦車模型のキャタピラは両端の接合部を熱したドライバーなどで焼止めして輪にして転輪に巻き付けるというベルト式の簡単なものでした。その後一枚一枚接着していくタイプの物が1/35スケールで登場し、さらに進化しピンや針金で実物同様可動するものが発売されるようなりました。キャタピラは戦車模型では完成後の見栄えに大きく影響する部分でファンの要求に答えると結果的にこうなるかもしれません。現在タミヤの新製品では組み立て易さを考慮し転輪に巻き付く一部分のみ一枚一枚組み立て、接地部分と上部のキャタピラは繋がった状態のものを組み合わせるタイプのものも多くなっています。タミヤ1/48スケールの戦車はすべてこのタイプのものだったと思いますが一枚一枚繋げるものと比べるとまだこちらのほうがはるかに組み立て易いと思います。戦車模型を初めて購入するときはまずこのキャタピラの部品を確認して自分のやる気や技量と相談したらいかがでしょうか?また最初の作品にはキャタピラではなくタイヤが付いているジープなどの軍用車、装輪装甲車や軍用トラックを選んでみるのも良い選択かと思います。