
●タミヤカラーエナメル(左)とハンブロール(右)

●30年前の模型雑誌の広告です。日本でのハンブロールの歴史も長いですが現在でも入手しにくいのが欠点です。
欧米で日本よりエナメル系塗料が普及しているのは、欧米は日本に比べて湿気が少なくエナメル系でも乾燥に時間がかからないといことを聞いたことがありますが、実際は欧米では日本で言う「ラッカー系」塗料は販売が禁止されているそうなので必然的に、エナメル系か水性アクリル系塗料しか使えないという事が大きいかと思います。日本と欧米との塗料における環境はかなり違うようですが日本のモデラーは、ラッカー系という使い勝手がよく他の種類の塗料に侵されにくい塗料が自由に使えるので下地はラッカー系で上に重ねる塗装はエナメルというスタイルが定着しているのではないかと思います。

●筆塗りで両方の塗料を比べてみました。両方ともツヤ消しの色でタミヤカラーエナメルは10分ほど待てば乾燥して触っても大丈夫ですが、ハンブロールは数時間たってもツヤが消えず触ると指紋がつきます。ハンブロールは薄く塗り、下地が乾燥するのを待って何度も塗り重ねたほうが良いようで扱いは少々難しそうです。やはり初心者の方にはタミヤカラーエナメルの使用をおすすめします。

●翌日にはハンブロールも乾燥していましたが、ツヤが残ったままです。ハンブロールの溶剤を含ませたティッシュで表面をこするとツヤが消えてツヤ消しの塗装面になりました。
そして同じエナメル系でも性質が違うようでタミヤエナメルは溶剤で表面をこすると溶けてきますがハンブロールは溶けません。強くこすると剥がれてきました。
またエナメル系塗料は油絵の具と相性がよく混色することができます。自分はフィギュアの塗装にはエナメルと油絵の具の組み合わせで塗っています。人間の肌は下地にエナメル系塗料を使い、影や表情は油絵の具で描き入れていきますし、服のしわや影にも油絵の具を使います。エナメル系塗料と油絵の具は塗っているうちからすぐに乾燥しませんので、ブレンディングと呼ばれる筆で隣の色となじませて自然なグラデーションを作ることができるのです。

●主にエナメル系塗料と細部を油絵の具で塗ったフィギュアです。
エナメル系塗料はその特性を生かしていろいろな場面に応用できますのでこの講座でも実践的な使い方はそのつど詳しくご紹介していきたいと思います。